ここまで、あなたはかなりの量を調べてきたはずです。任意整理、個人再生、自己破産、特定調停。それぞれの仕組みも、メリットもデメリットも、ある程度は理解できた。それでも、「で、結局自分はどれなのか」という最後の一点が決まらない。
この記事は、そのための最終整理です。制度の説明を繰り返すのではなく、あなたの数字を当てはめれば答えが出る形で、判断の順序を示します。必要なのは、借金の総額と、毎月返済に回せる金額と、守りたいものが何かという3つだけです。
当サイト管理人は、5社合計約430万円の借金を32歳のときに任意整理で整理した経験者です。私自身、この記事で示す順序と同じ道筋で自分の答えを出しました。この記事は、その実体験と公的機関の情報にもとづいて書いています。
この記事でわかること
・判断に必要な3つの数字
・4つの手続きを絞り込む判断フロー
・状況別の推奨(持ち家がある・収入がない・保証人がいる等)
・迷いやすい境界線のケースへの答え
・決めきれない場合にどうするか
この記事を読み終える頃には、自分がどの手続きに向かうべきかの見当がつきます。そして最終的な確定は、無料相談で数字を見てもらえば済みます。
準備|3つの数字を用意する
数字1|借金の総額
すべての借入先の残高を合計します。住宅ローンは別枠なので除いてください。正確でなくても、おおよそで構いません。わからなければ信用情報の開示で確認できます(開示請求のやり方の記事)。
数字2|毎月返済に回せる上限額
手取り月収から、家賃・光熱費・食費・通信費などの生活費を引いた残りです。ボーナスは当てにせず、毎月確実に出せる金額で考えてください。
数字3|保有財産の価値
持ち家、車(査定額)、生命保険の解約返戻金、預貯金、退職金見込額。特に持ち家の有無は、判断を大きく左右します。
判断フロー|3つの質問で絞り込む
質問1|「総額 ÷ 60」を毎月払えるか
これが最初の分岐点です。総額を60で割った金額が、任意整理を選んだ場合の月々の返済額の目安になります。
総額300万円 → 月5万円。総額430万円 → 月約7.2万円。総額600万円 → 月10万円。総額900万円 → 月15万円。
払える → 任意整理が第一候補です。裁判所を通さず、財産も処分せず、官報にも載らない、最も影響の軽い手続きです(任意整理とはの記事)。
払えない → 質問2へ。
質問2|安定した収入があるか
ある → 個人再生を検討します。元金そのものを大幅に圧縮でき(総額600万円なら120万円程度まで)、住宅ローン特則を使えば持ち家も残せます(個人再生とはの記事)。
ない・見込みが立たない → 自己破産が現実的です。返済そのものが不要になるため、収入がない状況でも生活を立て直せます(自己破産とはの記事)。
質問3|減額後の金額を3〜5年払い続けられるか
個人再生を検討する場合の確認です。払える → 個人再生。払えない → 自己破産という分岐になります。
状況別の推奨
持ち家を残したい
個人再生(住宅ローン特則)が事実上唯一の選択肢です。自己破産では処分され、任意整理では総額が大きい場合に対応できません。
ただし、住宅ローンを滞納して保証会社が代位弁済した場合、そこから6ヶ月以内に申し立てなければこの道は閉ざされます。該当する人は最優先で動いてください(住宅ローン特則の記事)。
保証人に迷惑をかけたくない
任意整理なら、保証人つきの借金を対象から外せます。個人再生・自己破産では対象を選べないため、保証人へ請求が及びます(対象を選べる仕組みの記事)。
資格制限のある職業に就いている
士業・警備員・保険外交員など、自己破産の手続き中に業務ができなくなる職業の場合、任意整理または個人再生を優先的に検討します(資格制限の記事)。
ギャンブル・浪費が原因
自己破産でも裁量免責の可能性は十分にありますが、確実性を重視するなら、借金の理由を問われない個人再生という選択肢があります(免責不許可事由の記事)。
2010年より前からの借入がある
手続きを選ぶ前に、過払い金の調査を受けてください。引き直し計算で借金が大幅に減る、あるいは消える可能性があります(過払い金とはの記事)。
裁判所から書類が届いている
手続き選び以前に、対応期限があります。支払督促なら2週間。今日中に専門家へ連絡してください(支払督促の記事)。
収入も財産もほとんどない
自己破産(同時廃止)が最も合理的です。失う財産がなければ、デメリットは実質的に小さく、最短3〜6ヶ月で解決します。
債権者が1〜2社で、平日に時間が取れる
特定調停も選択肢になります。費用が数千円で済みますが、書類作成と裁判所への複数回の出頭が必要です(特定調停とはの記事)。
迷いやすい境界線
「総額÷60」がギリギリ払える
払えなくはないが余裕がない、という状態です。判断材料は今後5年間の見通し。収入が安定していて予備費も確保できるなら任意整理、少しの変動で破綻しそうなら個人再生で負担を下げるほうが完走できます。
持ち家はあるが、執着はそれほどない
家を残すために3〜5年返済を続けるか、手放して返済ゼロにするか。生活の再建速度を重視するなら自己破産、住まいの安定を重視するなら個人再生です。家族の意向も含めて検討してください。
自己破産に強い抵抗がある
心理的な抵抗は自然なものですが、その多くは正確な情報で解けます。官報を日常的に見る人は少なく、資格制限は一時的で対象も限定的、家族への法的影響もありません(自己破産すべきかの判断基準の記事)。
費用が用意できない
これは手続き選びの制約になりません。受任通知で返済が止まった後の積立、分割払い、法テラスの立替。この3つで、手元資金ゼロからでも始められます(費用が払えない場合の記事)。
4手続きの一覧比較
任意整理:将来利息カット・元金は返済/影響が最も軽い/費用15〜25万円程度/官報なし/対象を選べる。
個人再生:元金を大幅圧縮(5分の1程度も)/住宅ローン特則で家を残せる/費用50〜80万円程度/官報あり/安定収入が必須。
自己破産:返済義務が消滅/財産処分と資格制限あり/費用20〜40万円程度(同時廃止)/官報あり/収入がなくても可。
特定調停:任意整理と同じ効果/費用は数千円と最安/自分で裁判所へ複数回出頭/調停調書に強制執行力あり。
詳細な比較は3手続きの使い分けの記事と4種類の比較表の記事で扱っています。
「総額÷60」がなぜ判断基準になるのか
この記事の判断フローの起点になっている計算について、根拠を説明しておきます。
60という数字の意味
任意整理では、将来利息をカットしたうえで、残った元金を分割で返済します。その返済回数の上限が、実務上おおむね60回(5年)とされているためです。
債権者によっては36回や48回までしか応じない場合もあり、逆に事情によっては延長に応じることもあります。60回は「交渉が成立しやすい上限の目安」と理解してください。
この計算でわかること
総額を60で割った金額が払えないということは、利息をゼロにしても返済が回らないことを意味します。つまり、任意整理では解決できない規模だという判定になります。
この場合、元金そのものを圧縮する個人再生か、返済義務をなくす自己破産へ進む、という筋道が立ちます。
この計算の限界
あくまで目安であり、次の要素は反映されていません。①保有財産(個人再生の清算価値に影響)、②2010年より前の借入(過払い金の可能性)、③保証人の有無、④持ち家の有無、⑤債権者の交渉方針。
だからこそ、この計算で方向性の当たりをつけ、確定は相談で行うという二段階になります。
手続きを変更したくなった場合
いったん方針を決めた後でも、変更は可能です。知っておくと、決断の重さが下がります。
①任意整理から個人再生・自己破産へ。交渉が成立しない、あるいは返済が続かないと判明した場合、切り替えられます。
②個人再生が不認可・廃止になった場合。給与所得者等再生への切り替えや、自己破産への移行という道があります。
③自己破産から個人再生へ。手続きの途中で財産や収入の状況が変わった場合など。
ただし、変更には費用と時間の追加が生じます。だからこそ最初の見立てが重要であり、正確な数字にもとづく判断が必要になるわけです。
相談で確定させるべき5つの数字
この記事の判断フローで方向性が見えたら、次は数字の確定です。相談の場で、次の5点を出してもらってください。
①正確な債務総額。取引履歴を取り寄せて確定します。自己認識とずれているケースは非常に多くあります。
②過払い金の有無。2010年より前からの取引があれば、引き直し計算で判明します。
③清算価値。預貯金・車・保険の解約返戻金・退職金見込額の合計。個人再生の返済額を左右します。特に退職金と保険は、自分では把握していない人が大半です。
④3手続きそれぞれの返済額。任意整理・個人再生・自己破産で、月々いくらになるかを一覧で。
⑤費用の総額。各手続きで、追加費用の条件も含めて。
この5点が揃えば、判断は数字の比較になり、迷う要素はほぼ消えます。そして、これらはすべて無料相談で得られます。
私の場合|同じ順序で答えを出した
私が自分の答えを出したときも、まさにこの順序でした。
数字1(総額):約430万円。クレジットカード3枚のリボが約180万円、カードローン2社が約250万円。数字2(返済可能額):手取り約25万円から固定費を引いて、月7〜8万円程度。数字3(財産):賃貸暮らしで持ち家なし、車もなし、高額な保険もなし。
質問1:430万円÷60=約7.2万円。固定費を見直せば払える範囲でした。この時点で、任意整理が第一候補に決まりました。
個人再生なら100万円台まで圧縮できるという試算も出ましたが、私には持ち家がなく、住宅ローン特則という最大の武器を使う場面がありませんでした。費用も手続きの複雑さも任意整理より重く、官報にも載る。払える見込みが立つ以上、より軽い手続きを選ぶ合理性がありました。
結果として、5年60回で完済しました。振り返って思うのは、「総額÷60が払えるか」という最初の質問だけで、大枠は決まっていたということです。あとは、持ち家の有無と保証人の有無を確認しただけでした。
複雑に見える判断も、順序立てて数字を当てはめれば、意外なほどシンプルに絞り込めます。
ケーススタディ|4つの答え
ケース1|安定収入・総額300万円・持ち家なし → 任意整理
÷60=月5万円が払えたため、費用が安く官報にも載らない任意整理を選択。財産も資格も守ったまま5年で完済しました。
ケース2|安定収入・総額600万円・住宅ローンあり → 個人再生
÷60=月10万円+住宅ローンは返済不能。自己破産では家を失う。住宅ローン特則を使った個人再生で、家を残しつつ120万円に圧縮しました。
ケース3|失業中・総額500万円・持ち家なし → 自己破産
収入の見込みが立たず、返済を前提とする手続きは選べない状況。目立った財産もなかったため、同時廃止で約4ヶ月で免責が確定しました。
ケース4|債権者1社・80万円・自営業 → 特定調停
平日に時間を作れ、債権者も1社だったため、費用1,000円程度で調停が成立。条件が揃った場合の最安ルートです。
決めきれない場合はどうするか
ここまで読んでも絞り込めない場合、それは情報が足りないのではなく、正確な数字が確定していない可能性が高いといえます。
借金の正確な総額は、取引履歴を取り寄せなければ確定しません。私の場合も、自己認識より約80万円多い残高が判明しました。過払い金の有無も、引き直し計算をしなければわかりません。保険の解約返戻金額も、確認しなければ清算価値の試算ができません。
これらの確定作業は、無料相談で引き受けてもらえます。つまり、最後の一押しは自分で悩んで出すものではなく、専門家に数字を出してもらって決めるものです。
そして重要なのは、相談の場で手続きを決める必要はないということです。見立てと見積もりを持ち帰り、比較して考えられます(無料相談の完全ガイド)。
選び方に関するよくある質問
複数の手続きを組み合わせられますか
基本的にできません。ただし任意整理は対象を選べるため、一部の借金だけを整理して残りは自分で返す設計は可能です。
途中で手続きを変更できますか
できます。任意整理から個人再生へ、個人再生が不認可なら自己破産へ、といった移行は実務でも行われています。ただし費用と時間の無駄が生じるため、最初の見立てが重要です。
専門家に勧められた手続きに従うべきですか
見立ては重要な材料ですが、決めるのはあなたです。納得できなければ理由を尋ね、それでも腑に落ちなければ別の事務所で意見を聞いてください(事務所の選び方の記事)。
家族に相談してから決めるべきですか
法的には本人の判断で進められますが、持ち家を残すかどうかは家族の生活にも関わります。同居のご家族がいる場合は共有することをおすすめします。
どれを選んでも信用情報には登録されますか
されます。期間の目安は、任意整理が完済から5年程度、個人再生・自己破産が5〜10年程度です(登録期間一覧の記事)。
いま決めなくてもいいですか
状況によります。督促が続いている、裁判所から書類が届いているなら、放置するほど選択肢が減ります。一方、まだ余裕があるなら、比較して納得してから決めて構いません。
まとめ:3つの数字を当てはめれば、答えは絞れる
債務整理の選び方は、次の順序で絞り込めます。
①総額÷60を毎月払えるか → 払えるなら任意整理。②払えない場合、安定収入はあるか → あるなら個人再生、ないなら自己破産。③持ち家を残したいか → 残したいなら個人再生(住宅ローン特則)。④保証人つきの借金があるか → 影響を避けたいなら任意整理で対象を外す。⑤債権者1〜2社で平日に時間が取れるか → 特定調停も選択肢。
複雑に見えても、この順序で自分の数字を当てはめれば、大枠は決まります。私自身、最初の質問(430万円÷60=月7.2万円は払えるか)だけで、方向性は定まりました。
そして、最後の確定は自分ひとりで悩んで出すものではありません。正確な残高も、過払い金の有無も、清算価値も、取引履歴を取り寄せて初めてわかります。その作業は、無料相談で引き受けてもらえます。
ここまで調べてきたあなたは、すでに判断に必要な知識を持っています。あとは、数字を確定させるだけです。その一歩は、予約の連絡から始まります。
次に読むべき記事を案内します。相談で何が行われるか→無料相談の完全ガイド。相談前の不安→相談前の不安Q&Aの記事。費用が心配な人→費用が払えない場合の記事。まだ迷う人→判断フローチャートの記事。動き出したい人→今日軽くする最初の一歩の記事。
相談先の一例
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この記事を書いた人
当サイト管理人。20代でリボ払いとカードローンにより約430万円の借金を抱え、32歳で任意整理を選択。月々約13万円だった返済を約7.2万円に組み直し、5年で完済した経験を持つ会社員です。体験と公的機関の情報にもとづいて当サイトを運営しています。テーマの性質上、プライバシー保護のため匿名で運営しています。
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