借り換えで金利を下げる方法と審査の現実

複数の借入を1本にまとめて金利を下げる。この「おまとめローン」「借り換え」は、うまくいけば有効な手段です。債務整理と違い、信用情報に事故情報が残りません。

ただし、実際には次の2つの壁があります。①返済が苦しい状態ほど審査に通らない②通っても総支払額が増える設計になっていることがある。この記事では、その現実と、判断の基準を整理します。

当サイト管理人は、5社合計約430万円の借金を32歳のときに任意整理で整理した経験者です。整理する前、おまとめローンを2社に申し込み、いずれも審査に通りませんでした。この記事は、その体験と公的機関の情報にもとづいて書いています。

この記事でわかること

・借り換えが有効に働く条件

・審査で見られていること

・「金利が下がったのに損をする」仕組み

・申し込む前に確認すべき4点

・審査に落ちた場合に何を意味するか

借り換えのメリット

1|金利が下がれば、元金の減りが早くなる

最大の利点です。年18%を年12%に下げられれば、同じ返済額でも元金に充てられる金額が増えます。

残高300万円で考えると、年18%なら利息は月4.5万円。年12%なら月3万円。月1.5万円分が元金の返済に回る計算になります。

2|返済先が1本になる

複数社への返済日を管理する負担が消えます。払い忘れによる延滞のリスクも下がります。

3|信用情報に事故情報が残らない

債務整理との決定的な違いです。通常の借入として扱われるため、その後もクレジットカードやローンを利用できます。

この点を重視して借り換えを選ぶ判断には、明確な合理性があります。

壁1|審査に通らないという現実

なぜ通らないのか

ここに構造的な矛盾があります。借り換えが必要なほど返済が苦しい人ほど、審査に通りにくいのです。

貸す側から見れば、複数社から借りている状態は、返済能力への懸念材料になります。まとめて貸すということは、より大きな金額を一社で引き受けることを意味します。

審査で見られていること

①信用情報の状況。延滞の記録があれば、通過は難しくなります。

②借入件数と総額。件数が多いほど不利に働く傾向があります。

③年収と返済比率。年収に対する年間返済額の割合が見られます。

④勤続年数と雇用形態。安定性の判断材料です。

⑤申込履歴。短期間に複数社へ申し込んでいると、資金繰りに窮している兆候と受け取られます。

総量規制との関係

貸金業者からの借入には、年収の3分の1までという総量規制があります。すでにこの水準に近い場合、新規の借入は困難です。

ただし、おまとめを目的とする貸付には、例外として扱われる仕組みがあります。借り換え専用の商品が用意されているのは、このためです。詳細は日本貸金業協会や金融庁の情報を確認してください。

申し込みすぎないこと

重要な注意点です。申込みの記録は信用情報に6ヶ月程度残ります。

短期間に何社も申し込むと、「申込みブラック」と呼ばれる状態になり、その後の審査でさらに不利になります。1社ずつ、結果を確認してから進めてください。

壁2|金利が下がっても総額が増える仕組み

審査に通った場合も、条件の確認が必要です。

返済期間が延びると、総支払額は増える

これが最も見落とされる点です。

借り換え前:残高300万円、年18%、月8万円返済 → 完済まで約4年、総支払額は約380万円。

借り換え後:年12%だが、月々の負担を下げるため月5万円返済 → 完済まで約7年、総支払額は約420万円。

金利は下がったのに、総支払額は増えています。返済期間が延びたためです。

月々が楽になることと、得をすることは別

借り換えの提案では、「毎月の返済額が下がる」ことが強調されがちです。しかし、それは期間が延びた結果であることが多くあります。

家計が回らない状態なら、月々を下げること自体に価値があります。ただし、「総支払額も減る」と誤解しないでください。

確認すべきは総支払額

比較すべき数字はひとつです。「完済までに、合計いくら払うことになるか」。

借り換え前と後で、この数字を並べてください。金利の数字だけを比べても判断できません。

申し込む前に確認すべき4点

1|総支払額は減るか

前述のとおりです。返済シミュレーションで、完済までの総額を確認してください。

2|手数料はかかるか

事務手数料、保証料、繰り上げ返済手数料。これらを含めた実質的な負担で比較してください。

3|金利は「上限」ではなく「適用される率」か

広告に表示されるのは、多くの場合「年◯%〜◯%」という幅です。最も低い金利が適用されるのは、条件の良い一部の人に限られます。

実際に自分に適用される金利は、審査の結果でしか分かりません。下限の数字を前提に計画を立てないでください。

4|借り換え後に、元のカードを使わないか

最も多い失敗がこれです。

借り換えで各社の残高がゼロになると、カードの利用枠が空きます。そこで再び使ってしまえば、借り換えたローンと、新たな借入の両方を抱えることになります。

これを防ぐには、借り換えと同時にカードを解約することです。手続きの際に、解約を条件とする商品もあります。

借り換えが有効に働く条件

次の条件を満たすなら、借り換えは合理的な選択です。

①現在の金利が年15%以上:下げ幅を確保できます。

②延滞していない:審査通過の前提条件です。

③返済負担率が手取りの30%以内:これを超えていると、審査は厳しくなります。

④借入件数が比較的少ない:件数が多いほど不利です。

⑤借り換え後に元のカードを使わない自信がある:仕組みとして解約するのが確実です。

⑥総支払額が減る条件を提示された:期間が延びすぎていないか確認してください。

審査に落ちた場合、それが意味すること

ここは重要な部分です。

おまとめローンの審査に落ちるということは、「現在の条件では、返済能力に懸念がある」と判断されたということです。

これは、自力返済の判定としても重要な情報になります。金融機関がリスクを取れないと判断した状態を、自力で乗り切れるかどうか。冷静に考える材料になります。

落ちた後にやってはいけないこと

①次々と別の会社に申し込む。申込履歴が積み重なり、状況が悪化します。

②「審査なし」「ブラックOK」の広告に連絡する。多くが違法業者です(悪質な業者の見分け方の記事)。

③金利の高い借入で穴埋めする。総額が増えるだけです。

次に検討すべきこと

①家計の見直しで返済原資を作る(家計見直しの記事)。

②返す順番を見直す(繰り上げ返済の順番の記事)。

③自力返済の可否を判定する(自力返済でいける人の条件の記事)。

これらを試しても残高が減らないなら、返済額そのものを変える方法を検討する段階です。

私の場合|2社に落ちて、判定が出た

私がおまとめローンを申し込んだのは、返済が明らかに回らなくなってからでした。5社合計430万円、月13万円の返済、手取り25万円。

1社目に申し込んだとき、「これで金利が下がれば楽になる」と本気で期待していました。結果は否決でした。

2社目にも申し込みました。同じく否決。このとき、2社連続で落ちたことの意味を、私は正しく理解していませんでした。

当時の私は、「たまたま条件が合わなかった」「もっと探せば通るところがある」と考えました。実際には、貸す側から見て返済能力に懸念があると2社が判断したということです。年収に対して借入が大きすぎたのです。

そして、この2回の申込みは信用情報に記録として残りました。結果的に、その後の選択肢を少し狭めることになったと思います。

後に相談した専門家に、この経緯を話したときの言葉を覚えています。

「おまとめの審査は、返済能力の判定でもあります。落ちたということは、その金額を今の収入で返すのは難しいという第三者の評価です」

この視点は、当時の私にはありませんでした。審査は「借りられるかどうか」だけでなく、「返せるかどうか」の客観的な判定でもある。そう捉えていれば、もっと早く方針を変えられたはずです。

結果として、私は任意整理を選び、月7.2万円で5年かけて完済しました。借り換えで解決できる規模ではなかったというのが、正しい判定でした。

借り換えと債務整理の比較

どちらを選ぶべきかを、項目ごとに整理します。

信用情報への影響

借り換え:事故情報は残りません。通常の借入として記録されます。任意整理:完済から5年程度、事故情報が登録されます。

この差は大きく、借り換えの条件を満たすなら、そちらを優先すべき理由になります。

元金と利息の扱い

借り換え:元金は減りません。金利が下がるだけです。任意整理:元金は減りませんが、将来利息がゼロになります。

ここが決定的な違いです。年15%を年12%に下げるより、利息そのものをカットするほうが効果は大きくなります。

残高300万円なら、借り換えで年3%下がれば年9万円の軽減。任意整理なら年45万円分の利息が発生しなくなる計算です。

審査の有無

借り換え:審査があり、状況が悪いほど通りません。任意整理:審査はありません。返済が苦しい人ほど利用できるという点で、性質が逆です。

費用

借り換え:事務手数料等。任意整理:1社あたり数万円程度が目安で、受任通知後の積立や分割で支払えます(費用が払えない場合の記事)。

選び方

審査に通る状態なら、まず借り換えを検討する。信用情報が守られるためです。

審査に通らない、あるいは借り換えても総支払額が減らないなら、任意整理を比較検討する。利息をカットする効果のほうが大きい場合があります(任意整理とはの記事)。

申し込む前にやっておくこと

審査の通過率を少しでも上げるために、事前にできることがあります。

①信用情報を開示して確認する。自分でも気づいていない延滞の記録がある場合があります。その状態で申し込んでも通りません。先に確認してください(開示請求のやり方の記事)。

②不要なカードを解約する。使っていないカードでも、利用枠は与信の判断材料になります。枚数を絞ることで、審査に有利に働く場合があります。

③申込みは1社ずつ。結果を確認してから次に進んでください。同時に複数へ申し込むと、履歴が集中して不利になります。

④勤続年数の節目を待つ。転職直後は不利に働きます。急がないなら、時期を調整する選択もあります。

ケーススタディ|4つの実際

ケース1|借り換えで完済したケース

年18%で3社から計180万円、延滞なし、返済負担率22%。年13%台への借り換えに成功し、期間を延ばさない条件で契約。総支払額を抑えて完済しました。

ケース2|月々は下がったが総額が増えたケース

金利は下がったものの、返済期間が3年延びる条件だったケース。月々の負担は軽くなりましたが、総支払額は増えました。家計を回すためには必要な選択でしたが、その理解のうえで契約すべきでした。

ケース3|借り換え後にカードを使ってしまったケース

おまとめで各社の残高がゼロになった後、空いた枠を再び利用したケース。おまとめローンと新たな借入の両方を抱え、総額が借り換え前を上回りました。

ケース4|審査落ちを判定材料にしたケース

2社の審査に落ちた時点で、「自力での返済は難しい」という判定と受け止めて相談へ切り替えたケース。申込みを重ねなかったため、その後の手続きもスムーズでした。

借り換えに関するよくある質問

銀行と消費者金融、どちらがいいですか

一般に銀行のほうが金利は低い傾向にありますが、審査は厳しめとされています。また、銀行の借入は総量規制の対象外ですが、審査そのものは慎重に行われます。

おまとめすると信用情報に傷がつきますか

事故情報は登録されません。通常の借入として記録されます。ただし、申込みの記録は6ヶ月程度残ります。

審査に何回落ちたら諦めるべきですか

明確な基準はありませんが、2社続けて落ちたら、いったん立ち止まってください。申込みを重ねるほど不利になります。

おまとめ後に債務整理はできますか

できます。ただし、1社にまとまっている分、任意整理では交渉相手が1社に絞られます。その1社が交渉に応じない方針であれば、選択肢が狭まる可能性があります。

家族に知られませんか

通常の借入と同じ扱いです。郵便物や、勤務先への在籍確認の方法は、事前に確認してください。

借り換えと債務整理、どちらを先に検討すべきですか

条件を満たすなら借り換えが先です。信用情報に事故情報が残らないためです。ただし、審査に落ちる状態なら、その時点で判定が出ていると考えてください。

まとめ:通るかどうか自体が、判定になる

借り換え・おまとめローンは、条件を満たせば有効な手段です。金利が下がり、返済先が1本になり、信用情報に事故情報も残りません。

有効に働く条件は、①現在の金利が年15%以上、②延滞していない、③返済負担率が30%以内、④借入件数が少ない、⑤元のカードを使わない、⑥総支払額が減る条件です。

ただし、次の2点は必ず理解しておいてください。

①金利が下がっても、返済期間が延びれば総支払額は増えます。比較すべきは金利ではなく、完済までの総額です。

②借り換え後に元のカードを使えば、状況は借り換え前より悪化します。同時に解約するのが確実です。

そして、審査に落ちること自体が、ひとつの判定です。金融機関が返済能力に懸念があると判断した状態を、自力で乗り切れるか。私は2社に落ちた後もその意味を理解せず、時間を失いました。

落ちた場合は、申込みを重ねずに立ち止まってください。家計の見直し、返す順番の変更を試し、それでも残高が減らないなら、別の手段を検討する段階です。

次に読むべき記事を案内します。自力返済の判定→自力返済でいける人の条件の記事。家計の見直し→家計見直しの記事。返す順番→繰り上げ返済の順番の記事。やってはいけないこと→返済中のNG行動の記事。悪質業者の見分け方→悪質な業者の見分け方の記事

審査に落ちた方は、自力返済が無理なラインの記事で判定の基準を確認してください。

この記事を書いた人

当サイト管理人。20代でリボ払いとカードローンにより約430万円の借金を抱え、32歳で任意整理を選択。月々約13万円だった返済を約7.2万円に組み直し、5年で完済した経験を持つ会社員です。体験と公的機関の情報にもとづいて当サイトを運営しています。テーマの性質上、プライバシー保護のため匿名で運営しています。

参考にした公的機関・関係団体

本記事の制度に関する記述は、次の公的機関・関係団体が公表する情報を参照しています。最新の内容は各サイトでご確認ください。日本貸金業協会 金融庁 国民生活センター 日本司法支援センター 法テラス

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言や特定の金融商品の推奨・勧誘を行うものではありません。総量規制の例外の適用、審査基準、金利や手数料の条件は、商品および金融機関によって異なります。記載の計算は一般的な目安です。実際の契約内容は必ず借入先にご確認いただき、返済が困難な場合の判断は、弁護士・司法書士などの専門家、または法テラス等の公的窓口にご相談ください。