費用が払えなくても相談していい理由|分割・法テラス

債務整理をしたい。でも、その費用が払えない。任意整理で15〜25万円、自己破産で20〜40万円、個人再生なら50〜80万円。毎月の返済で手一杯なのに、そんな金額をどこから出せばいいのか。

この矛盾に突き当たって、相談自体を諦めてしまう人が少なくありません。しかし、債務整理の費用は「今すぐ用意する」ものではありません。受任通知で返済が止まった後の積立、分割払い、法テラスの立替制度。この3つの仕組みによって、手元資金がゼロの状態からでも始められるのが実情です。この記事では、その具体的な仕組みを解説します。

当サイト管理人は、5社合計約430万円の借金を32歳のときに任意整理で整理した経験者です。私も相談前は「費用を用意できないのに行っていいのか」と悩みましたが、実際には手元資金ゼロで手続きを始められました。この記事は、その実体験と公的機関の情報にもとづいて書いています。

この記事でわかること

・費用を後払いにできる仕組み(返済停止期間の積立)

・分割払いの実際(何回まで、月いくら)

・法テラスの立替制度と利用条件

・「費用が払えないから放置」が最も高くつく理由

・手続き別の費用と、用意すべき最低額

仕組み1|返済停止期間に積み立てる【最重要】

これが、費用問題を解決する最大の仕組みです。

依頼すると、返済が止まる

弁護士・司法書士に依頼すると、数日以内に受任通知が各債権者へ発送されます。これにより督促が止まると同時に、和解が成立するまで毎月の返済も一時停止します(受任通知の記事)。

浮いた返済額が、そのまま費用になる

毎月10万円返済していた人なら、返済停止によって月10万円が手元に残ります。任意整理なら和解までに3〜6ヶ月かかるため、その間に30万〜60万円が積み立てられる計算です。

つまり、新たな出費を捻出する必要はありません。これまで返済に消えていたお金を、費用に振り替えるだけです。「追加でお金がかかる」という感覚にはなりにくい仕組みになっています。

私の場合もこれで解決した

私は毎月約13万円を返済していました。任意整理の費用は5社で15〜25万円程度。返済が止まれば、2ヶ月ほどで用意できる計算でした。この説明を受けた瞬間、費用の壁は消えました。

仕組み2|分割払い

多くの事務所が対応している

債務整理を扱う事務所の多くは、費用の分割払いに対応しています。契約時にまとまった着手金を求めない事務所も珍しくありません。

回数と月額の目安

返済停止期間に合わせて、月2〜5万円で4〜6回程度に設定されるのが一般的です。事情によっては、より長い分割に応じてもらえる場合もあります。

相談時に必ず確認する

「月々いくらまでなら払えるか」を正直に伝えれば、それに合わせた計画を組んでもらえます。逆に、無理な金額を約束すると途中で滞り、手続き自体が止まるリスクがあります(事務所の選び方の記事)。

仕組み3|法テラスの民事法律扶助制度

国が費用を立て替える制度

法テラス(日本司法支援センター)は国が設立した機関で、収入・資産が一定基準以下の人を対象に、弁護士費用の立替を行っています。立て替えられた費用は、手続き完了後に分割で返済します。

返済は月5,000円〜1万円程度

返済額は収入に応じて設定され、月々5,000円〜1万円程度が目安です。無利息で、生活を圧迫しない水準に調整されます。

無料相談も利用できる

収入基準を満たせば、同一問題について3回まで無料法律相談を受けられます。「相談料も惜しい」という状況でも利用可能です。

生活保護受給者は返済が猶予・免除される場合も

生活保護を受給している場合、立替金の返済が猶予され、状況によっては免除される制度もあります。個別の判断が必要なため、窓口で確認してください(法テラスの記事)。

収入基準の目安

単身世帯で手取り月収が一定額以下、といった基準が世帯人数ごとに定められています。家賃負担が大きい場合の加算もあります。該当するかどうかを判断するのは自分ではなく法テラスなので、収入が少ないと感じているなら問い合わせる価値があります。

手続き別|最低限用意すべきもの

任意整理

費用は1社2〜5万円程度。裁判所費用は不要です。返済停止期間の積立で賄えるケースが最も多い手続きです(任意整理の費用の記事)。

自己破産(同時廃止)

弁護士費用20〜40万円程度に加え、裁判所実費が2万円前後。こちらも積立と分割で対応可能です(自己破産の費用の記事)。

自己破産(管財事件)

上記に加えて予納金20万円前後が必要です。これは裁判所に納めるもので、分割での積立に応じてもらえる場合があります。財産がある場合、その換価によって賄われることもあります。

個人再生

弁護士費用40〜60万円程度に加え、個人再生委員の報酬15〜25万円程度がかかる場合があります。3手続きの中で最も高額ですが、減額幅も大きいため、総支出では有利になることが多くなります(個人再生の費用の記事)。

特定調停

債権者1社あたり1,000円前後と、圧倒的に安い手続きです。ただし、自分で書類を作り平日に裁判所へ出頭する必要があるため、費用以外の負担が大きくなります(特定調停とはの記事)。

「費用が払えないから放置」が最も高くつく

ここが最も重要な点です。費用を理由に手続きを先延ばしにすると、次のコストが積み上がります。

1|遅延損害金:滞納すれば年20%程度の遅延損害金が加算され続けます。総額300万円なら、1年で約60万円の上乗せです。債務整理の費用より、放置のコストのほうがはるかに大きくなります。

2|選択肢の減少:滞納が進むと一括請求、訴訟、差し押さえへと進み、任意整理で済んだはずの状況が自己破産しか選べない状態になることもあります(滞納するとどうなるかの記事)。

3|住宅ローンの場合は期限:住宅ローンを滞納し保証会社が代位弁済した場合、6ヶ月以内に個人再生を申し立てなければ、家を残す道が閉ざされます(住宅ローン特則の記事)。

4|会社に知られるリスク:給与差し押さえに至れば、勤務先に裁判所から通知が届きます(差し押さえの記事)。

費用を惜しんで放置することは、金銭的にも、選択肢の面でも、確実に高くつきます。

費用の相談で伝えるべきこと

相談時に、次のことを正直に伝えてください。恥ずかしがる必要はありません。

①「手元に資金がない」という事実。②毎月の返済額(=停止後に積立に回せる金額)。③月々いくらまでなら費用を払えるか。④収入がいくらか(法テラスの対象か判断するため)。

これらを伝えれば、あなたの状況で実行可能な支払い計画を組んでもらえます。「お金がないので相談だけ」と言っても構いません。

法テラスの利用条件と、実際の流れ

3つの仕組みのうち、条件を満たせば最も負担が軽いのが法テラスです。具体的に説明します。

利用の条件

①収入が一定基準以下であること。単身か家族構成かで基準が変わり、家賃や医療費などの支出も考慮されます。②資産が一定基準以下であること。③勝訴の見込みがないとはいえないこと。債務整理では通常、問題になりません。④民事法律扶助の趣旨に適すること。

基準は世帯の人数や地域によって異なるため、該当するかどうかは法テラスに直接確認するのが確実です。「たぶん基準を超えている」という自己判断で諦めないでください。

立替後の返済

費用は法テラスが立て替え、月々5,000円〜1万円程度を分割で返済していきます。生活保護を受給している場合などは、返済が猶予・免除されることがあります。

利用の流れ

①法テラスに問い合わせる。電話、ウェブ、地方事務所の窓口から。②無料法律相談を受ける。同一の問題について複数回の利用が可能とされています。③扶助の申込みをする。収入や資産に関する書類を提出します。④審査を経て決定。数週間かかることがあります。⑤担当者が決まり、手続きが始まる。

注意点

①審査に時間がかかる。裁判所から書類が届いているなど急を要する場合は、その旨を伝えてください。②対応している事務所を選ぶ必要がある。すべての事務所が法テラスの契約をしているわけではありません。③担当者を自由に選べない場合がある。

積立方式が成立する理由|数字で確認する

最も多く使われているのが、この方法です。仕組みを数字で示します。

受任通知が発送されると、その時点で返済が停止します。これまで返済に充てていた金額が、そのまま手元に残ります。

例|毎月7万円を返済していた場合:3ヶ月で21万円、5ヶ月で35万円、10ヶ月で70万円。任意整理の費用(3社で15〜25万円程度)なら3〜4ヶ月、個人再生(50〜80万円)でも8〜11ヶ月で用意できる計算になります。

そして、個人再生は申立てまでに数ヶ月かかるため、この期間が積立期間として機能します。時間の使い方として無駄がありません。

積立にはもうひとつの意味がある

この期間は、手続き後の返済を継続できるかを確認する試験期間でもあります。積立が続かないなら、認可後の返済も続かない可能性が高い。逆に、続けられれば見通しが立ちます。

特に個人再生では、履行テストという形で正式にこの確認が行われます。積立は費用の準備であると同時に、家計管理の練習でもあります。

費用の相談で伝えるべきこと

相談時に、次の3点を正直に伝えてください。言いにくいと感じるかもしれませんが、専門家にとっては日常的な相談です。

①現在、手元にいくらあるか。ゼロでも構いません。

②毎月いくらなら払えるか。返済が止まった後の金額で計算してください。

③法テラスの利用を検討したいか。収入基準に該当しそうなら、その旨を伝えます。

これらを伝えれば、支払い方法を含めた現実的な提案が受けられます。「費用が払えないので相談できません」と言われることは、まずありません。

私の場合|「費用が払えない」が相談を止めていた

私が相談の予約をためらっていた理由のひとつが、まさにこれでした。毎月13万円の返済で家計は限界。任意整理には15〜25万円かかると知り、「そんなお金があれば返済に回している」と思っていたのです。

相談へ行けなかった数ヶ月間、私は「費用が貯まってから相談しよう」と考えていました。しかし、返済で消えていく家計から費用を貯めることなど、当然できるはずがありません。この矛盾に気づかないまま、時間だけが過ぎていきました。

実際に相談して聞かされたのは、拍子抜けするほど単純な仕組みでした。「依頼すれば返済が止まります。これまで返済に充てていた13万円が手元に残るので、そこから積み立ててください」

そのとおりでした。受任通知の発送後、返済が止まり、和解が成立するまでの数ヶ月で費用は完納できました。新たに用意したお金は、1円もありません。

いま振り返ると、「費用が貯まってから」という考え方そのものが間違いだったとわかります。費用は、手続きを始めることで生まれる余力から払うもの。順序が逆だったのです。

もしあなたが同じ理由で止まっているなら、その壁は相談の場で消える可能性が高いと思います。

ケーススタディ|費用をどう工面したか

ケース1|返済停止期間の積立で完納したケース

毎月12万円を返済していた会社員。受任通知後、5ヶ月間で60万円を積み立て、任意整理の費用を完納しました。手元資金ゼロからのスタートでした。

ケース2|法テラスの立替を利用したケース

収入が基準以下だったため立替制度を利用。自己破産の費用を法テラスが立て替え、手続き完了後に月7,000円ずつ返済しています。

ケース3|管財事件の予納金を分割で用意したケース

自己破産で管財事件となり、予納金20万円が必要になったケース。弁護士費用と併せて分割で積み立て、無理のない範囲で準備を進めました。

ケース4|費用を理由に放置して悪化したケース

「お金がないから」と1年放置した結果、遅延損害金が数十万円積み上がり、さらに給与差し押さえで会社に知られたケース。最終的に自己破産を選びましたが、早く相談していれば任意整理で済んだ可能性が高い事例です。

費用に関するよくある質問

本当に手元資金ゼロで始められますか

多くのケースで可能です。ただし事務所の方針によるため、相談時に「手元に資金がないが、返済停止後の積立で払いたい」と伝えて確認してください。

途中で費用が払えなくなったらどうなりますか

放置せず、すぐに依頼先へ相談してください。支払い計画を組み直してもらえることが多くあります。黙って滞ると、辞任(依頼関係の解消)につながる可能性があります。

法テラスの審査に時間はかかりますか

一定の審査期間があるため、直接依頼するより着手までにやや時間を要します。ただし、費用が用意できずに何もしないより、はるかに早く解決へ進めます。

家族に費用を借りてもいいですか

問題ありません。ただし、それが贈与か借入かを明確にしておくと、申告時の説明がスムーズです。

費用が安い事務所を選べばいいですか

総額と追加費用の条件を確認したうえでなら構いません。ただし、極端に安く説明が不十分な場合は注意が必要です(悪質な業者の見分け方の記事)。

特定調停なら数千円で済むと聞きました

事実です。ただし、書類作成と平日の裁判所出頭をすべて自分で行う必要があり、時間と労力の負担は大きくなります。費用だけで判断せず、完走できるかで選んでください(特定調停と任意整理の違いの記事)。

相談だけでも費用はかかりますか

初回相談を無料としている事務所が多くあります。法テラスの無料相談も利用できます。予約時に確認してください。

まとめ:費用は「用意する」ものではなく「生まれる」もの

債務整理の費用が払えないという悩みは、3つの仕組みで解決できます。①受任通知で返済が止まり、これまで返済に充てていたお金を積み立てられる。②多くの事務所が分割払いに対応している。③収入基準を満たせば法テラスの立替制度が使える。

特に①は本質的です。費用は、手続きを始めることで生まれる余力から支払うもの。「費用が貯まってから相談する」という順序では、いつまでも始められません。

そして、費用を理由に放置することは、遅延損害金の積み上がり、選択肢の減少、住宅ローンの期限切れ、会社に知られるリスクという形で、確実により高くつきます。

私自身、「そんなお金があれば返済に回している」と思って数ヶ月動けませんでした。しかし実際には、手元資金ゼロで手続きを始め、返済停止期間の積立で費用を完納できました。

お金がないことは、相談しない理由になりません。むしろ、お金がない人のために制度は設計されています。相談の場で「手元に資金がない」と正直に伝えてください。そこから道が始まります。

次に読むべき記事を案内します。相談の実際→無料相談の完全ガイド。法テラスの詳細→法テラスの記事。手続き別の費用→債務整理の費用相場の記事。相談前の不安→相談前の不安Q&Aの記事。事務所の選び方→事務所の選び方の記事

この記事を書いた人

当サイト管理人。20代でリボ払いとカードローンにより約430万円の借金を抱え、32歳で任意整理を選択。月々約13万円だった返済を約7.2万円に組み直し、5年で完済した経験を持つ会社員です。体験と公的機関の情報にもとづいて当サイトを運営しています。テーマの性質上、プライバシー保護のため匿名で運営しています。

参考にした公的機関・関係団体

本記事の制度に関する記述は、次の公的機関・関係団体が公表する情報を参照しています。最新の内容は各サイトでご確認ください。日本司法支援センター 法テラス 日本弁護士連合会 日本司法書士会連合会 国民生活センター

免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言や特定の事務所・サービスの勧誘を行うものではありません。費用体系・分割の可否は各事務所によって異なり、法テラスの利用条件は制度の定めによります。記載の内容は最終更新日時点の一般的な目安です。実際の手続きの判断は、必ず弁護士・司法書士などの専門家、または法テラス等の公的窓口にご相談ください。