返済が苦しいとき、多くの人がまず食費を削ります。しかし、食費の節約で捻出できる金額は限られており、しかも続きません。我慢に依存する方法は、必ずどこかで反動が来ます。
効果が大きく、かつ一度やれば継続するのは固定費です。契約を変えるだけで、毎月自動的に支出が下がります。意志の力を使わずに済むのが、固定費削減の最大の利点です。
当サイト管理人は、5社合計約430万円の借金を32歳のときに任意整理で整理した経験者です。整理する前も、整理して5年かけて完済する間も、家計の見直しは続けました。最初にやった食費の節約はほとんど効果がなく、後から手をつけた固定費が効きました。この記事は、その体験と公的機関の情報にもとづいて書いています。
この記事でわかること
・固定費から削るべき理由
・削減効果の大きい順の6項目
・変動費で削るべきもの・削ってはいけないもの
・見直しの手順(3ステップ)
・削った分をどう使うか
なぜ固定費からなのか
理由1|一度で効果が継続する
通信費を月3,000円下げれば、その後は何もしなくても毎月3,000円が浮きます。年間36,000円、5年で18万円です。
一方、食費を月3,000円削るには、毎月その努力を続ける必要があります。疲れた日、忙しい日にも維持しなければなりません。
理由2|生活の質が下がりにくい
通信費、保険料、サブスク。これらは同じサービスをより安く受けるという形の削減が可能です。我慢ではなく、契約の最適化です。
食費や交際費の削減は、生活の満足度に直結します。長期間続ければ、反動としてまとまった支出を招くことがあります。
理由3|金額が大きい
固定費は、家計の中で最も大きな割合を占めます。家賃、通信費、保険料、車の維持費、サブスク。ここに手をつけずに食費だけを削っても、効果は限定的です。
削減効果の大きい順|6項目
1|通信費【最優先】
効果が大きく、手続きも比較的簡単です。
格安SIM(MVNO)への乗り換えで、月数千円下がるケースがあります。データ使用量を確認し、実際の使用に合ったプランを選んでください。多くの人が、使っていない容量に払っています。
あわせて、自宅の固定回線が本当に必要かも確認してください。スマホのテザリングで足りる使い方なら、解約という選択肢もあります。
注意点として、端末を分割払い中の場合、乗り換えても分割の支払いは残ります。また、この分割は信用情報に登録されているため、滞納しないよう注意してください(スマホ契約の記事)。
2|保険【見直し効果が大きい】
保険料は、必要な保障を確保したうえで下げられる余地があることが多い項目です。
確認すべきは、①同じ保障が重複していないか、②保障額が現在の状況に合っているか、③貯蓄型を掛け捨てに変えられないかです。
特に、独身なのに大きな死亡保障をかけているケースはよくあります。逆に、扶養家族がいる場合は減らしすぎないでください。
ひとつ重要な注意点があります。貯蓄型の保険を解約すると、解約返戻金を受け取ることになります。債務整理を検討している場合、この返戻金は財産として扱われ、手続きに影響する可能性があります。検討段階なら、解約前に専門家へ相談してください。
3|車の維持費
駐車場代、任意保険、税金、車検、ガソリン代。年間で数十万円になることも珍しくありません。
使用頻度が週1回程度なら、カーシェアやレンタカーのほうが安く済む可能性があります。ただし、地域によっては車が生活必需品であるため、一律には判断できません。
手放さない場合でも、任意保険の見直しで下げられる余地があります。
4|サブスクリプション
動画配信、音楽、アプリの課金、ジム、定期購入。1つ1つは少額でも、合計すると月1万円を超えていることがあります。
確認方法は、クレジットカードの明細を3ヶ月分さかのぼって、毎月同じ金額の引き落としを探すことです。存在を忘れている契約が見つかることがあります。
5|住居費
効果は最も大きいものの、引っ越し費用と手間がかかるため、優先度は状況によります。
目安として、家賃が手取りの3分の1を超えているなら検討の価値があります。ただし、引っ越しには敷金・礼金・仲介手数料が必要です。
なお、債務整理をすると賃貸の新規契約で審査に影響する場合があります(保証会社の種類によります)。順序に注意してください(賃貸契約の記事)。
6|水道光熱費
電力・ガスの契約先やプランの見直しで、下がる場合があります。効果は他の項目より小さめですが、手続きは比較的簡単です。
変動費|削るべきもの・削ってはいけないもの
削る余地があるもの
①コンビニでの少額購入。1回500円でも、週5回で月1万円です。習慣を変える効果は大きくなります。
②嗜好品。金額の把握から始めてください。
③衝動的な買い物。後述する仕組みで抑えられます。
削ってはいけないもの
①医療費。健康を損なえば、収入そのものが失われます。受診を我慢することは、家計の観点でも合理的ではありません。
医療費が家計を圧迫している場合、高額療養費制度など公的な負担軽減の仕組みがあります。加入している健康保険の窓口や自治体に相談してください。
②食費を極端に削ること。栄養が偏れば健康を損ないます。外食を減らす程度にとどめてください。
③子どもの教育費。削減の対象にしにくい領域です。就学援助など公的な支援制度がある場合があります。
④仕事に必要な支出。収入を下げる削減は本末転倒です。
見直しの手順|3ステップ
ステップ1|3ヶ月分の明細を並べる(30分)
家計簿をつける必要はありません。銀行口座の入出金明細と、クレジットカードの利用明細を3ヶ月分用意してください。アプリで確認できます。
ここで見るのは、毎月同じ金額で引き落とされているものです。それが固定費です。
ステップ2|固定費を一覧にする(20分)
項目名と金額を書き出します。合計してみてください。手取りに対する割合を計算すると、状況が見えます。
この作業で、忘れていた契約が見つかることがよくあります。使っていないサブスク、重複した保険、不要なオプション。
ステップ3|上から順に手続きする(数時間)
効果の大きい順に、実際の手続きを行います。1日で全部やろうとせず、週末ごとに1〜2項目で構いません。
解約や乗り換えは、多くがオンラインで完結します。
削った分をどう使うか
ここが最も重要です。削っただけでは、返済は進みません。
選択肢1|返済に上乗せする
完済までの期間が短くなります。金利の最も高い借入に充てるのが原則です(繰り上げ返済の順番の記事)。
選択肢2|予備費を作る
返済負担率が高く、余裕がない場合はこちらを優先してください。
予備費がないと、想定外の支出のたびに借入が必要になります。年15%で返して年15%で借りるなら、返済の意味がありません。
目安として、生活費1〜2ヶ月分を確保してから、返済への上乗せに移ってください。
選択肢3|生活費に戻す(避けたい)
最も多い失敗です。削減の効果を実感すると、その分を他の支出に回してしまうことがあります。
これを防ぐには、削減した金額を別口座に自動で移す設定が有効です。意志ではなく仕組みで管理します。
再発を防ぐ3つの仕組み
家計の見直しは、一度やって終わりではありません。元に戻らない仕組みを作ってください。
1|決済をデビットカードに寄せる
口座残高の範囲でしか使えないため、構造的に使いすぎが起こりません。ネット決済も含め、日常の大半に対応できます(デビットカードの記事)。
2|自動リボの設定を解除する
意図せずリボになっていると、支出を減らしても残高が減りません。今日確認してください。
3|給与日に自動振替を設定する
給与が入った日に、返済分と予備費を別口座へ自動で移す設定にします。残った分で生活する形にすれば、使いすぎが起こりません。
私の場合|食費から始めて失敗した
返済が苦しくなったとき、私が最初にやったのは食費の節約でした。自炊を増やし、外食を減らし、コンビニに寄らないようにしました。
結果として捻出できたのは、月に1万円程度でした。月13万円の返済に対して、焼け石に水です。しかも、疲れた日には結局コンビニに寄ってしまい、続きませんでした。
後から固定費に手をつけました。格安SIMへの乗り換えで月5,000円、使っていなかったサブスクの解約で月3,000円、保険の見直しで月4,000円。合計で月1.2万円です。
金額としては食費の節約と大差ありませんが、決定的に違ったのは、努力が不要だったことでした。手続きをした翌月から、何もしなくても支出が下がっていました。
そしてもうひとつ、当時の私が理解していなかったことがあります。月1.2万円を捻出しても、返済負担率52%という構造は変わらなかったということです。
手取り25万円で返済13万円。1.2万円を上乗せしても、根本的な計算は成立していませんでした。家計の見直しは有効ですが、それだけで解決する規模とそうでない規模があります。
任意整理をして返済が7.2万円になった後、この月1.2万円の削減が効いてきました。負担率が下がった状態でこそ、家計の改善が意味を持ったのです。
順序として学んだのは、家計の見直しは「返済が続けられる水準」を作るためのものであり、成立しない計算を成立させるものではないということでした。
削減の目標額を逆算する
やみくもに削るのではなく、いくら削れば状況が変わるのかを先に決めてください。
逆算の方法
①現在の返済負担率を出す。毎月の返済額 ÷ 手取り収入。
②20%になる返済額を計算する。手取り25万円なら、5万円が目標水準です。
③差額を確認する。現在7万円払っているなら、差は2万円。これが、家計から捻出すべき金額です。
ここで重要なのは、削減分を返済に上乗せするのではなく、生活費の不足を埋める形で使う場合もあるという点です。負担率が高い人は、まず生活を回すことが先になります。
目標額が現実的かを判断する
固定費の削減で捻出できる金額には、上限があります。一般的な家計で、月1〜3万円程度が現実的な範囲です。
差額が月5万円を超えているなら、家計の見直しでは埋まりません。その場合は、収入を増やすか、返済額そのものを変える(債務整理)かの検討になります。
手続きの優先順位|時間対効果で並べる
限られた時間で最大の効果を出す順序です。
優先度1|サブスクの解約(所要10分・効果 月数千円)。明細を見て、使っていないものを解約するだけです。最も手軽で確実です。
優先度2|自動リボの解除(所要10分・効果 大)。金額は直接減りませんが、放置すると他の努力が無効になります。最優先で確認してください。
優先度3|格安SIMへの乗り換え(所要1〜2時間・効果 月3,000〜5,000円)。手続きはオンラインで完結します。
優先度4|保険の見直し(所要数時間・効果 月数千円)。保障内容の確認が必要なため時間はかかりますが、効果は継続します。
優先度5|電力・ガスの契約見直し(所要30分・効果 月数百〜千円台)。
優先度6|住居費(所要 数週間・効果 大)。効果は最大ですが、引っ越し費用と手間がかかります。他を試してから検討してください。
ケーススタディ|4つの実際
ケース1|固定費削減で自力返済を継続できたケース
通信費・保険・サブスクの見直しで月2.3万円を捻出。返済負担率が26%から19%に下がり、自力返済を続けられました。
ケース2|予備費を先に作ったケース
削減分をすぐ返済に回さず、まず生活費1ヶ月分を貯めたケース。その後に発生した医療費を借入なしで乗り切れました。
ケース3|保険の解約で手続きに影響が出たケース
債務整理を検討中に貯蓄型保険を解約し、解約返戻金を受け取ったケース。財産として扱われ、当初の想定と条件が変わりました。解約前に相談していれば避けられた事態です。
ケース4|削減しても構造が変わらなかったケース
月2万円を削減したが、返済負担率が45%から41%になっただけだったケース。家計の見直しでは対応できない規模だと判定し、債務整理へ切り替えました。
家計見直しに関するよくある質問
家計簿はつけるべきですか
固定費の見直しだけなら、明細を見るだけで足ります。ただし、変動費の使いすぎを把握したいなら、家計簿アプリが有効です。
どのくらい削れば効果がありますか
目安として、返済負担率を20%以内に収められるかで判断してください。それが自力返済を継続できる水準です(自力返済でいける人の条件の記事)。
削っても足りない場合は
家計の見直しで対応できる範囲を超えている可能性があります。3ヶ月試して残高が減らなければ、別の手段を検討してください(自力返済が無理なラインの記事)。
保険は解約してもいいですか
保障の必要性を確認したうえで判断してください。ただし、債務整理を検討している場合は、解約前に専門家へ相談してください。解約返戻金が手続きに影響します。
家族に協力してもらうべきですか
家計を共有している場合、片方だけで構造を変えるのは困難です。借金の事情を伏せたままでも、家計の見直しとして提案することは可能です。
削減した分の管理はどうすればいいですか
別口座への自動振替が最も確実です。目に見える場所にあると、使ってしまいます。
まとめ:固定費から、仕組みで削る
家計の見直しは、固定費から手をつけてください。一度の手続きで効果が継続し、我慢を必要としないためです。
効果の大きい順は、①通信費、②保険、③車の維持費、④サブスク、⑤住居費、⑥水道光熱費です。
手順は3つ。①明細を3ヶ月分並べる、②固定費を一覧にする、③効果の大きい順に手続きする。合計で数時間です。
そして、削った分の使い道を先に決めてください。予備費が1〜2ヶ月分ないなら、まずそちらへ。あるなら、金利の高い借入への上乗せへ。生活費に戻してしまえば、削減の意味はなくなります。
私は食費から始めて失敗しました。効いたのは固定費であり、それは努力ではなく手続きでした。ただし、家計の見直しには対応できる規模の限界があります。3ヶ月試して残高が減らないなら、それは家計の問題ではなく、返済額そのものの問題です。
次に読むべき記事を案内します。自力返済の判定→自力返済でいける人の条件の記事。返す順番→繰り上げ返済の順番の記事。返済計画の作り方→返済計画表の記事。返済と貯金の優先→返済と貯金の記事。やってはいけないこと→返済中のNG行動の記事。
見直しても返済が回らない場合は、自力返済が無理なラインの記事で判定の基準を確認してください。
この記事を書いた人
当サイト管理人。20代でリボ払いとカードローンにより約430万円の借金を抱え、32歳で任意整理を選択。月々約13万円だった返済を約7.2万円に組み直し、5年で完済した経験を持つ会社員です。体験と公的機関の情報にもとづいて当サイトを運営しています。テーマの性質上、プライバシー保護のため匿名で運営しています。
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