ボーナスが出たら、まとめて返済に充てる。返済に追われている人の多くが、この計画を持っています。実際、まとまった金額を元金に充てられるのは大きな効果があります。
ただし、ボーナス返済には固有の落とし穴があります。最も危険なのは、ボーナスを前提にした返済計画を組むことです。支給額が変動すれば、計画そのものが崩れます。
当サイト管理人は、5社合計約430万円の借金を32歳のときに任意整理で整理した経験者です。整理する前、私はボーナスを返済に充てていましたが、その使い方を間違えていました。この記事は、その反省と公的機関の情報にもとづいて書いています。
この記事でわかること
・ボーナスを返済に充てる正しい順序
・ボーナス払いの設定が危険な理由
・全額を返済に回してはいけない理由
・ボーナスが減った・出なかった場合の備え
・返済計画に組み込むべきかどうか
大原則|ボーナスは「計画」ではなく「上乗せ」
この記事で最も重要な考え方です。
計画に組み込むと、崩れたときに破綻する
「年2回のボーナスで各30万円返す」という前提で計画を立てると、支給額が減った時点で計画が成立しなくなります。
ボーナスは、業績、評価、会社の方針によって変動します。前年と同額が保証されているものではありません。
毎月の収入だけで回る計画にする
返済計画は、毎月確実に得られる収入だけで組んでください。そのうえで、ボーナスが出たら上乗せする。この順序であれば、支給額が変わっても計画は崩れません。
判定の目安として、「総額÷60を、毎月の手取りから払えるか」を確認してください。ボーナスを含めずに計算します。ここが成立していない状態は、そもそも自力返済が難しい水準です(自力返済でいける人の条件の記事)。
ボーナス払いの設定は解除を検討する
クレジットカードやローンには、ボーナス月に増額して支払う設定があります。これには注意が必要です。
危険な理由1|支給額と連動していない
ボーナス払いの金額は、契約時に決まります。実際の支給額が減っても、請求額は変わりません。支給が想定を下回れば、その差を別の借入で埋めることになります。
危険な理由2|使いすぎを招きやすい
「ボーナス払いにすれば今は負担がない」という感覚が、本来なら見送るはずの買い物を後押しします。支払いの実感が先送りされる点で、リボ払いと似た構造を持っています。
危険な理由3|ボーナスが出ない場合に対応できない
転職、休職、会社の業績悪化。ボーナスが支給されない可能性は、常に存在します。
対処
すでに設定している場合、解除や支払方法の変更が可能か、カード会社に確認してください。今後の利用については、ボーナス払いを選ばないことを勧めます。
ボーナスが出たときの正しい順序
まとまった金額を手にしたとき、どう配分するか。優先順位を示します。
優先1|税金・社会保険料の滞納
住民税、国民健康保険料、年金保険料など。これらは債務整理の対象外であり、裁判を経ずに差し押さえが可能です。滞納があるなら、まずここに充てます。
優先2|予備費の確保(生活費1〜2ヶ月分)
ここを飛ばさないでください。予備費がない状態で全額を返済に回すと、想定外の支出が発生したときに、また借りることになります。
年15%で返済して、翌月に年15%で借りるなら、効果はゼロです。むしろ手数料の分だけマイナスになります。
優先3|延滞している借入の解消
延滞損害金は通常の金利より高く設定されています。延滞状態を解消することが、次に優先されます。
優先4|金利の最も高い借入への繰り上げ返済
ここでようやく、通常の繰り上げ返済です。金利の高いものから充ててください(繰り上げ返済の順番の記事)。
優先5|自分のための支出(少額でも)
意外に思われるかもしれませんが、これも計画に入れてください。
全額を返済に回し続けると、反動として大きな支出を招くことがあります。数年にわたる返済を完走するには、息継ぎが必要です。
目安として、ボーナスの5〜10%程度を上限に設定しておくと、罪悪感なく使えます。
全額を返済に回してはいけない理由
もう少し詳しく説明します。
理由1|予備費がないと、借入の循環が生まれる
前述のとおりです。返しては借りるという循環に入ると、総額は減りません。
理由2|次のボーナスまでの半年を乗り切れない
ボーナスは年2回、つまり次まで約6ヶ月あります。その間に、車検、家電の故障、冠婚葬祭、医療費といった支出が発生し得ます。
理由3|継続できなければ意味がない
返済は数年にわたります。短期的に無理をして続かなくなるより、少し余裕を残して完走するほうが、結果的に早く終わります。
ボーナスが減った・出なかった場合
この事態を想定した準備が必要です。
準備1|ボーナス払いの設定をなくしておく
最も確実な対処です。設定がなければ、支給の有無が返済に影響しません。
準備2|毎月の収支だけで回る状態を作る
固定費の見直しで、毎月の収入だけで生活と返済が成立する状態を目指してください(家計見直しの記事)。
準備3|それでも払えない場合の対応
ボーナス払いの請求に対応できないと分かった時点で、カード会社へ連絡してください。支払方法の変更や、分割への切り替えに応じてもらえる場合があります。
黙って引き落とし日を迎えると、延滞として記録されます。事前の連絡には意味があります。
そして、別のカードで借りて埋めることは避けてください。これが最も状況を悪化させる対応です(返済中のNG行動の記事)。
ボーナスを返済計画に組み込んでよい場合
ここまで慎重な見方を示してきましたが、組み込める条件もあります。
①支給が就業規則等で明確に定められており、変動幅が小さい。年俸制で分割支給される形などが該当します。
②毎月の収入だけでも返済が回る。ボーナスはあくまで完済を早めるための上乗せという位置づけ。
③予備費が確保されている。
この3つを満たすなら、ボーナスを計画に含めても破綻しにくくなります。逆に、②を満たさない状態でボーナスを前提にするのは危険です。
私の場合|ボーナスの使い方を間違えていた
返済が苦しかった頃、私にもボーナスがありました。金額は毎回変動しましたが、まとまった額ではありました。
私がやっていたのは、ボーナスをほぼ全額、返済に充てることでした。「これで一気に減らせる」と考えていたのです。
実際には、2つの間違いを犯していました。
間違い1|予備費を残さなかった。全額を返済に回した結果、その後の数ヶ月で支出が発生するたびに、カードで補填していました。ボーナスで減らした分を、その後の半年で借り戻していたことになります。
間違い2|充てる先を金利で選んでいなかった。残高の少ない借入を優先していましたが、そこは金利が低いものでした。効果が最も小さい使い方をしていました。
そしてもうひとつ、より根本的な問題がありました。私はボーナスを「いつか状況を変えてくれるもの」として期待していたのです。
月13万円の返済に対して、手取りは25万円。この構造は、年2回のボーナスでは変わりません。それでも「次のボーナスで挽回できる」と考えることで、根本的な判断を先送りしていました。
相談に行ったとき、専門家に言われました。
「ボーナスは、毎月の収支が回っている人が完済を早めるためのものです。回っていない人が期待するものではありません」
この区別は、当時の私にはありませんでした。ボーナスは解決策ではなく、加速装置だったのです。回っていないものは、加速させても回りません。
ボーナスの配分を具体的に決める
「順序は分かったが、実際にいくら回すのか」を決めておくと、支給日に迷いません。
予備費がゼロの場合
全額を予備費に回すことも選択肢です。返済に充てたい気持ちは自然ですが、予備費がない状態では借入の循環が続きます。
生活費1ヶ月分が確保できるまでは、返済への上乗せを見送る判断に合理性があります。
予備費が1ヶ月分ある場合
目安として、半分を予備費の積み増し、半分を返済という配分が現実的です。予備費2ヶ月分を目標にしてください。
予備費が2ヶ月分ある場合
7〜8割を返済、1〜2割を自分のための支出という配分が取れます。ここまで来れば、繰り上げ返済の効果を十分に受けられる状態です。
配分を決めたら、支給前に振り分ける
実務的なコツです。支給日に口座を見てから考えると、判断がぶれます。事前に金額を決めておき、支給されたら即座に別口座へ移してください。
年2回の支給を、どう見積もるか
計画に組み込む場合の考え方です。
過去3年の最低額を基準にする
平均ではなく、最も少なかった年の金額を前提にしてください。平均で計算すると、下振れした年に計画が崩れます。
手取りで計算する
ボーナスにも税金と社会保険料がかかります。支給額ではなく、実際に振り込まれる金額で計算してください。額面の8割程度が目安になりますが、実際の控除額は明細で確認できます。
使途が決まっている分を先に引く
年払いの保険料、税金、帰省費用など、ボーナスから支出する予定があるものを先に差し引いてください。残りが返済に回せる金額です。
この3つを踏まえると、「返済に回せる金額」は、当初想像していた額よりかなり小さくなるのが通常です。その現実的な数字で計画を組んでください。
ケーススタディ|4つの実際
ケース1|上乗せとして使い、完済を早めたケース
毎月の収支だけで返済が回っていたケース。ボーナスは予備費を確保したうえで、金利の高い借入に上乗せ。当初の予定より1年早く完済しました。
ケース2|予備費を残して循環を防いだケース
ボーナスの半分を予備費、残りを返済に充てたケース。その後に発生した車検費用を借入なしで支払え、総額を増やさずに済みました。
ケース3|ボーナス払いの設定で行き詰まったケース
ボーナス払いを設定していたが、支給額が想定を下回ったケース。不足分を別のカードで補填し、借入先が増えました。設定を解除していれば避けられました。
ケース4|ボーナス前提の計画が崩れたケース
毎月は赤字で、ボーナスで補填する計画だったケース。転職により支給がなくなり、計画が破綻。毎月の収支だけで回る設計にしていれば、影響は限定的でした。
ボーナス月にやってはいけないこと
まとまった入金があると、判断が緩みます。避けるべき行動を挙げておきます。
1|新たなボーナス払いの契約をする
「次のボーナスで払えばいい」という感覚で、高額な買い物をしてしまうケースです。支払いを先送りしただけで、負担は消えていません。
2|返済が進んだ実感から、利用枠を使う
繰り上げ返済で残高が減ると、カードの利用可能枠が空きます。ここで使えば、返済した意味がなくなります。
これを防ぐには、枠そのものを下げる手続きが有効です。カード会社に申し出れば、利用限度額を引き下げられます。
3|生活水準を上げる
一時的に余裕ができると、固定費を増やす判断をしがちです。サブスクの追加、より高いプランへの変更。これらは翌月以降も続く支出です。
4|全額を返済に回して、予備費をゼロにする
繰り返しになりますが、最も多い失敗です。次のボーナスまで半年あります。
ボーナスがない前提で家計を作る
最後に、根本的な考え方を示します。
年収ではなく、月収で設計する
ボーナスを含めた年収で家計を考えると、毎月は赤字で、ボーナスで補填するという構造になりがちです。
この構造は、支給が減った瞬間に破綻します。毎月の手取りだけで、生活費と返済が収まる設計にしてください。
ボーナスは「臨時収入」として扱う
心理的な位置づけの問題ですが、実務上の効果があります。当てにしないお金として扱えば、支給額の変動に振り回されません。
そして、実際に支給されたときには、前倒しで完済に近づくという明確なメリットが得られます。
この設計ができているかの確認
簡単な確認方法があります。「ボーナスがゼロだったとして、来年1年間、返済と生活は回るか」。
回らないなら、ボーナス依存の家計です。回るなら、健全な設計ができています。
ボーナス返済に関するよくある質問
ボーナス払いの設定は解除できますか
カード会社によって対応が異なります。すでに確定している請求は変更できない場合が多いため、早めに確認してください。今後の利用については、選ばないことができます。
ボーナス全額を返済に充てるのは間違いですか
予備費が十分にあるなら問題ありません。ない場合は、まず予備費の確保を優先してください。
何割を返済に回すのが適切ですか
一律の正解はありませんが、目安として予備費が確保できているなら7〜8割程度、確保できていないならまず予備費に回すという考え方があります。
ボーナスで一括返済すべきですか
可能なら有効です。ただし、繰り上げ返済の手数料と、予備費の確保を確認してください。また、債務整理を検討している場合、特定の債権者にだけ返済すると問題になる可能性があります。
債務整理をするとボーナス払いはどうなりますか
任意整理では、ボーナス払いをなくして毎月均等の返済に組み直すのが一般的です。ボーナスに依存しない計画のほうが、完走の可能性が高まるためです。
ボーナスが出ない職種です
むしろ、毎月の収入だけで計画を組む前提が最初から確立していると考えてください。ボーナスに期待して判断を先送りするリスクがありません。
まとめ:計画ではなく、上乗せとして使う
ボーナスを返済に充てることは有効です。ただし、使い方と位置づけを間違えないでください。
①返済計画は、毎月の収入だけで組む。ボーナスは上乗せです。前提にすると、支給額の変動で崩れます。
②ボーナス払いの設定は解除を検討する。支給額と請求額が連動しないため、差額を借入で埋める事態を招きます。
③充てる順序を守る。税金の滞納 → 予備費(1〜2ヶ月分) → 延滞の解消 → 金利の高い借入 → 自分のための少額の支出。
④全額を回さない。予備費がなければ、次のボーナスまでの半年で借り戻すことになります。
私は、予備費を残さず、金利も見ずにボーナスを使っていました。そして何より、ボーナスが状況を変えてくれると期待して、根本的な判断を先送りしていました。
ボーナスは加速装置であって、解決策ではありません。毎月の収支が回っていない状態は、年2回のまとまった入金では変わりません。その判定は、ボーナスを含めない計算で行ってください。
次に読むべき記事を案内します。自力返済の判定→自力返済でいける人の条件の記事。返す順番→繰り上げ返済の順番の記事。家計の見直し→家計見直しの記事。返済と貯金の優先→返済と貯金の記事。返済計画の作り方→返済計画表の記事。
毎月の収入だけでは回らないと感じた方は、自力返済が無理なラインの記事で判定の基準を確認してください。
この記事を書いた人
当サイト管理人。20代でリボ払いとカードローンにより約430万円の借金を抱え、32歳で任意整理を選択。月々約13万円だった返済を約7.2万円に組み直し、5年で完済した経験を持つ会社員です。体験と公的機関の情報にもとづいて当サイトを運営しています。テーマの性質上、プライバシー保護のため匿名で運営しています。
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本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言や金融商品の推奨を行うものではありません。ボーナス払いの設定変更の可否や手数料は、カード会社・金融機関および契約内容によって異なります。債務整理を検討している場合、特定の債権者への返済は偏頗弁済にあたる可能性があるため、必ず弁護士・司法書士などの専門家、または法テラス等の公的窓口にご相談ください。

