債務整理について調べていると、受任通知、引き直し計算、免責、期限の利益。見慣れない言葉が次々に出てきて、それだけで疲れてしまいます。専門用語がわからないまま読み進めると、内容を誤解したり、不安だけがふくらんだりしがちです。
この記事は、債務整理を検討する人が出会う用語を、体験者の言葉でやさしく解説する用語集です。当サイト管理人自身、約430万円の借金を任意整理したとき、最初は「受任通知」の意味すら知りませんでした。辞書的な正確さよりも「要するにどういうことか」を優先して説明しますので、他の記事を読んでいて知らない言葉に出会ったら、ここに戻って確認してください。
使い方は自由ですが、上から通読する必要はありません。場面ごとの章立てにしてあるので、いま自分がいる場面(手続きを選んでいる/依頼を検討している/督促が来ている)の章だけ拾い読みするのが効率的です。ブラウザのページ内検索(スマホなら共有メニューの「ページを検索」)で用語名を探すのも便利です。
この記事でわかること
・債務整理の4つの手続きに関する基本用語
・交渉・裁判所手続きで登場する用語
・信用情報・ブラックリスト関連の用語
・督促・滞納の場面で登場する用語
手続きの種類に関する用語
債務整理:借金の減額・免除・返済条件の変更を、法律にもとづいて行う手続きの総称。任意整理・個人再生・自己破産・特定調停の4つが代表です。全体像は債務整理とはの記事で解説しています。
任意整理:裁判所を通さず、専門家が債権者と直接交渉して、将来利息のカットと3〜5年での分割返済を取り決める手続き。整理する借金を選べるのが特徴で、4つの中で最も利用者が多いとされます。
個人再生(民事再生):裁判所を通じて借金の元金を大幅に減額し(目安として5分の1程度まで)、原則3年で返済する手続き。住宅ローン特則を使えば持ち家を残せます。
自己破産:裁判所に申し立てて、免責が認められれば借金の返済義務そのものがなくなる手続き。一定額を超える財産は処分の対象になりますが、生活必需品は残せます。
特定調停:簡易裁判所の調停委員を間に挟んで、債権者と返済条件を話し合う手続き。専門家に依頼せず自分で進めるため、費用は数千円程度で済む一方、手間はすべて自分持ちです。
過払い金請求:かつてのグレーゾーン金利で払いすぎた利息の返還を求める手続き。主に2010年より前から借入をしていた人に発生する可能性があります。完済から10年で時効になります。
混同されやすいペアを整理しておきます。「任意整理と特定調停」は、目指す結果(利息カット+分割)は似ていますが、前者は専門家が交渉し、後者は裁判所で自分が進める点が違います。「個人再生と自己破産」は、どちらも裁判所での大幅救済ですが、前者は減額して返す(家を残せる)、後者は返済義務をなくす(一定の財産を処分)という違いです。「債務整理と過払い金請求」は、前者が今の借金を軽くする手続き、後者が過去の払いすぎを取り戻す手続きで、同時に行われることもあります。
交渉・依頼の場面で出てくる用語
受任通知:専門家が依頼を受けたことを債権者に知らせる書面。これが届いた時点で、貸金業者は本人への直接の取り立てができなくなります(貸金業法21条)。督促の電話と郵便が止まる、債務整理の最初の転機です。
債権者/債務者:お金を貸している側(カード会社・消費者金融・銀行)が債権者、借りている側(あなた)が債務者です。
引き直し計算:過去の取引履歴を利息制限法の上限金利で計算し直すこと。借金の正確な残高を確定させる作業で、この過程で過払い金が見つかることもあります。
利息制限法:貸付の上限金利を定める法律。元本10万円未満は年20%、10万〜100万円未満は年18%、100万円以上は年15%が上限です。これを超える利息は無効になります。
将来利息:和解後、完済までの間に本来発生するはずの利息。任意整理では、この将来利息のカットが減額の中心になります。
遅延損害金:返済が遅れた場合に発生するペナルティの利息。通常の利息より高い利率が設定されていることが多く、滞納が長引くほど残高を膨らませます。
和解:債権者との間で新しい返済条件に合意すること。任意整理では、各社と和解書を交わした時点で交渉が完了し、新しい返済が始まります。
取引履歴:借入と返済のすべての記録。専門家が債権者に開示を求め、引き直し計算の材料になります。古い取引ほど過払い金の可能性に関わるため、正確な履歴の取得は債務整理の土台です。
経過利息:最後の返済日から和解成立までの間に発生した利息。任意整理の交渉では、将来利息だけでなくこの経過利息のカットも交渉対象になります(債権者により対応は異なります)。
着手金/報酬金:専門家費用の内訳。着手金は依頼時に発生する費用、報酬金は解決の成果に応じて発生する費用です。詳しくは費用相場の記事で解説しています。
140万円の壁:認定司法書士が代理できるのは1社あたりの債権額が140万円以下の案件まで、という制限の通称。これを超える借入の交渉は弁護士にしか依頼できません。
裁判所手続きで出てくる用語
免責:自己破産で、借金の返済義務を免除する裁判所の決定。免責許可が確定して初めて、借金は法的になくなります。
免責不許可事由:ギャンブルや浪費による借金、財産隠しなど、免責が認められない可能性のある事情。ただし該当しても、反省状況などを考慮して裁判所の裁量で免責される(裁量免責)ケースが多くあります。
非免責債権:免責されても消えない債権。税金、社会保険料、養育費、罰金、故意の不法行為にもとづく損害賠償などが該当します。
同時廃止:自己破産で、処分すべき財産がほとんどない場合に、破産手続きの開始と同時に手続きを終了させる簡易なルート。期間・費用とも軽く済みます。
管財事件(少額管財):一定の財産がある場合や調査が必要な場合に、破産管財人が選任されて財産の調査・処分・配当を行うルート。予納金(少額管財で20万円程度から)が必要になります。
破産管財人:管財事件で裁判所が選任する弁護士。破産者の財産を調査・管理・処分し、債権者への配当を行います。
自由財産:自己破産しても手元に残せる財産。生活に欠かせない家具・家電、仕事道具、99万円以下の現金などが該当します。
最低弁済額:個人再生で、最低限返済しなければならない金額。借金の総額に応じて法律で定められており、例えば借金500万円なら100万円が目安になります。
清算価値保障:個人再生の弁済額は、保有財産の合計額を下回れない、というルール。財産が多い人は減額幅が小さくなります。
住宅資金特別条項(住宅ローン特則):個人再生で、住宅ローンだけは従来どおり払い続けることで持ち家を残せる制度。個人再生最大の特徴です。
再生計画:個人再生で、減額後の借金をどう返済していくかを定めた計画。裁判所の認可を受け、計画どおりの返済を原則3年続けます。
官報:国が発行する機関紙。個人再生・自己破産では氏名・住所が掲載されます。一般の人が日常的に読むものではないため、知人に知られる可能性は低いのが実情です。
調停調書:特定調停で合意した内容をまとめた書面。判決と同じ強制執行力があり、成立後に滞納すると訴訟なしで差し押さえが可能になる点に注意が必要です。
信用情報・ブラックリストに関する用語
信用情報機関:クレジット・ローンの契約や返済の記録を管理する機関。日本にはCIC(クレジット系)、JICC(消費者金融系)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つがあり、相互に情報を交流しています(参考:CIC公式サイト)。
事故情報(異動情報):長期延滞や債務整理などの事実の記録。これが登録されている間は、新規のカード・ローン審査に原則通りません。いわゆる「ブラックリストに載る」の正体です。
ブラックリスト:事故情報が登録された状態の俗称。「ブラックリスト」という名簿が実在するわけではありません。登録期間は目安として5〜7年です。詳しくはブラックリストの記事へ。
開示請求:信用情報機関に自分の登録情報を確認する手続き。スマホやネットから1機関1,000円程度で申請できます。手順は開示請求の記事で解説しています。
喪明け:事故情報の登録期間が終わり、記録が消えた状態の俗称。開示請求で消えたことを確認してから、カードやローンの申し込みを再開するのが定石です。
クレジットヒストリー(クレヒス):クレジットやローンの利用・返済の実績。喪明け後は、少額のカード利用と期日払いでクレヒスを積み直すことが、住宅ローンなどへの近道になります。
代位弁済:滞納が続いたとき、保証会社が本人に代わって債権者へ一括返済すること。以後の請求は保証会社から来ます。代位弁済も事故情報として登録されます。
社内ブラック:手続きの対象にした会社やそのグループが、自社の記録として半永久的に情報を残すこと。信用情報の登録期間が過ぎても、その系列の審査には通りにくくなります。喪明け後は別系列に申し込むのが定石です。
督促・滞納の場面で出てくる用語
督促:滞納した返済を求める連絡(電話・ハガキ・封書)。受任通知の送付で止まります。
期限の利益:分割で返済できる権利のこと。「期限の利益の喪失」とは、滞納などによりこの権利を失い、残額を一括で請求される状態を指します。一括請求の通知は、放置すると訴訟に進む重大なサインです。
支払督促:債権者の申立てにより簡易裁判所が発する、支払いを命じる書面。受け取ってから2週間以内に異議を出さないと、差し押さえが可能な状態に進んでしまいます。届いたら即対応が必要です(対処の記事参照)。
強制執行(差し押さえ):判決や支払督促にもとづいて、給料や預金を強制的に回収する手続き。給料は原則手取りの4分の1まで差し押さえられ、勤務先にも通知されます。
消滅時効:一定期間(貸金業者からの借入は原則5年)返済も承認もない場合に、借金の支払い義務を消滅させられる制度。時効の完成には「援用」という意思表示が必要で、1円でも払ったり支払いを認めたりするとリセットされます。詳しくは時効援用の記事へ。
債権回収会社(サービサー):債権者から債権を買い取ったり回収を委託されたりする、法務大臣の許可を受けた会社。ここから通知が来た場合も、対応の基本は同じで、無視せず専門家に相談してください。
借入の基本に関する用語
債務整理の前提となる、借入そのものの用語も押さえておきましょう。自分の借金の構造を理解する助けになります。
元金(元本):借りたお金そのもの。利息を除いた借入残高のことです。債務整理の効果を測るときは、常に「元金がどうなるか」で考えます。
リボルビング払い(リボ払い):利用額にかかわらず毎月の支払額を一定にする方式。支払いは楽に見えますが、残高に年15%前後の手数料がかかり続け、元金がなかなか減らない構造です。詳しくはリボ払いの仕組みの記事へ。
約定返済:契約で決められた毎月の最低返済のこと。約定返済だけを続けると、利息の割合が大きく、完済まで長期間かかります。
おまとめローン:複数の借入を1本の低金利ローンにまとめる借り換え商品。債務整理とは異なり借金の総額は減りませんが、金利と管理の負担を下げられます。審査に通る信用状態であることが前提です(おまとめローンの記事参照)。
貸金業法:消費者金融やカード会社の貸付を規制する法律。取り立て行為の規制(21条)や、受任通知後の直接請求の禁止もこの法律にもとづきます。2010年の完全施行で、上限金利の引き下げと総量規制が導入されました。
総量規制:貸金業者からの借入総額を年収の3分の1までに制限するルール。逆に言えば、借金が年収の3分の1に達している状態は、法律が「これ以上は危険」と定めた水準に達しているということです。
グレーゾーン金利:かつて存在した、利息制限法の上限は超えるが刑事罰の対象にはならない金利帯。2010年の法改正で撤廃されました。この時代に借入をしていた人に、過払い金が発生している可能性があります。
多重債務:複数の業者からの借入を抱え、返済のために新たな借入をするような状態。国も対策の相談窓口を設けています(参考:金融庁「多重債務についての相談窓口」)。
保証人・家・相続に関する用語
保証人/連帯保証人:借りた本人が払えないときに代わりに支払う義務を負う人。連帯保証人は保証人より責任が重く、「先に本人に請求してほしい」と主張する権利(催告の抗弁権)すらありません。日本の保証契約の大半は連帯保証です。
求償権:保証人が肩代わりして支払った分を、本人に請求できる権利。保証会社が代位弁済した後の請求も、この求償権にもとづきます。
任意売却:住宅ローンが払えなくなったとき、競売にかけられる前に、債権者の同意を得て市場価格で家を売却する方法。競売より高く売れることが多く、残債の扱いも交渉しやすくなります。
競売(けいばい):住宅ローンなどの担保になっている不動産を、裁判所の手続きで強制的に売却すること。市場価格より安くなる傾向があり、売却後も残った債務の返済義務は続きます。
相続放棄:亡くなった家族の財産も借金も、一切相続しないという選択。家庭裁判所への申述が必要で、原則として相続を知ってから3ヶ月以内という期限があります。親の借金に悩む人は相続放棄の記事を参照してください。
注意が必要な用語|広告・勧誘で見かけたら警戒
ブラックOK・審査なし融資:信用情報に事故登録のある人には正規の業者は貸しません。「ブラックOK」をうたう貸し手は、ほぼ確実に違法業者(闇金)です。どれほど困っていても近づかないでください。
個人間融資:SNSなどで個人を装って貸付を持ちかける行為。実態は無登録の違法貸付で、法外な利息や個人情報の悪用被害につながります。
給料ファクタリング:給料を受け取る権利を買い取ると称する実質的な高利貸し。金融庁が注意喚起している違法性の高い取引です。
信用情報回復・ブラック消し:正規の手続きで事故情報を期間前に消す方法は存在しません。この種の広告は詐欺と考えてください(信用情報の回復の記事参照)。
借金減額診断:ネット広告でよく見る簡易診断。多くは法律事務所等への相談導線として運営される民間サービスです。公的制度ではないことを理解したうえで使うなら問題ありません(減額診断の記事参照)。
費用・支援制度に関する用語
民事法律扶助:収入・資産が一定基準以下の人向けに、法テラスが無料法律相談と専門家費用の立替を行う制度。債務整理でも利用できます。詳しくは法テラスの記事へ。
償還:法テラスに立て替えてもらった費用を、月々5,000円程度ずつ返していくこと。生活保護受給者は猶予・免除の可能性があります。
委任契約/委任状:専門家に手続きを依頼する際に結ぶ契約と、代理権を証明する書面。委任契約を結んで初めて、専門家はあなたの代理人として債権者と交渉できます。
和解書(合意書):任意整理で債権者と合意した返済条件をまとめた書面。毎月の返済額・回数・遅延時の扱い(期限の利益喪失条項)が書かれています。完済まで大切に保管してください。
用語に関するよくある質問
全部覚えないと相談できませんか
覚える必要はまったくありません。専門家は用語をかみ砕いて説明しながら進めてくれますし、わからない言葉はその場で聞けば済みます。この用語集は、暗記のためではなく、記事や書類を読んでいて引っかかったときに戻ってくる辞書として使ってください。相談の準備は用語の暗記より、借入の一覧を作ることのほうがずっと役に立ちます(無料相談の完全ガイド参照)。
同じ言葉でも意味が違って使われることはありますか
あります。代表例は「ブラックリスト」で、実在する名簿ではなく事故情報の登録状態の俗称です。「債務整理=自己破産」と思い込んでいる人も多いですが、債務整理は4つの手続きの総称で、自己破産はそのひとつにすぎません。俗称や思い込みで話が食い違うのを防ぐには、金額や期間などの具体的な数字で確認し合うのが確実です。
用語がわかると、不安は半分になる
用語集をここまで読んで、気づいたことはないでしょうか。ひとつひとつの言葉の意味は、知ってしまえば単純だということです。受任通知は「督促を止める通知」、免責は「返済義務の免除」、ブラックリストは「5〜7年の登録記録」。難解な漢字の並びに感じていた威圧感は、意味を知った瞬間に消えていきます。
私自身、専門用語がわからないことが、相談へ行けない理由のひとつでした。「話についていけなかったらどうしよう」と。実際には、専門家は素人に用語の説明をしながら話してくれますし、わからない言葉はその場で聞けば済みました。この用語集は、その不安を事前に減らすためのものです。完璧に覚える必要はありません。「調べれば分かる場所がある」というだけで十分です。
用語の意味は公的機関の資料でも確認できます。制度の一次情報は裁判所や法テラスのサイトが確実です。
まとめ:言葉の壁を越えたら、次は自分のケースへ
債務整理の用語は、手続きの種類(任意整理・個人再生・自己破産・特定調停)、交渉の場面(受任通知・引き直し計算・和解)、裁判所の場面(免責・同時廃止・再生計画)、信用情報(事故情報・喪明け・クレヒス)、督促の場面(期限の利益・支払督促・時効援用)の5つの場面に分けて覚えると、頭に入りやすくなります。
言葉の意味がわかったら、次は自分のケースに当てはめる番です。手続きの選び方は判断フローチャートの記事で、全体像は債務整理とは|4つの方法の違いと選び方で確認できます。他の記事を読んでいて知らない用語に出会ったら、いつでもこのページに戻ってきてください。
どの手続きが自分に合うのかを整理したい方は、【総合】あなたに合う債務整理の選び方まとめで判断の順序を示しています。まだ気持ちの整理がつかない方は、借金の悩みを今日軽くする最初の一歩もあわせてお読みください。
この記事を書いた人
当サイト管理人。20代でリボ払いとカードローンにより約430万円の借金を抱え、32歳で任意整理を選択。月々約13万円だった返済を約7.2万円に組み直し、5年で完済した経験を持つ会社員です。体験と公的機関の情報にもとづいて当サイトを運営しています。テーマの性質上、プライバシー保護のため匿名で運営しています。
参考にした公的機関・関係団体
本記事の制度に関する記述は、次の公的機関・関係団体が公表する情報を参照しています。最新の内容は各サイトでご確認ください。日本司法支援センター 法テラス 日本弁護士連合会 裁判所(最高裁判所)
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、法的助言や特定の手続き・サービスの勧誘を行うものではありません。用語の説明はわかりやすさを優先した一般的な解説であり、法律上の厳密な定義とは異なる場合があります。実際の手続きの判断は、必ず弁護士・司法書士などの専門家、または法テラス等の公的窓口にご相談ください。

